澤将監の館「総事業費7憶4千万円で現代に蘇った豪農の大邸宅!元は武田信玄の家臣だった」

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米どころ新潟には数多くの豪農の館が点在してます。

それらの建物は歴史的価値があり、中には国指定重要文化財のものもあるわけですが、その中に1つだけとても新しい建物の澤将監さわしょうげんの館が、新潟市西蒲区にあります。

今ある澤将監の館は、現存する図面と写真をもとに宮大工によって1994年に忠実に復原されたもの。

ほひょ

総事業費何と7憶4千万円!

そして澤将監がもとはあの戦国武将武田信玄の家臣だったということも興味深いです。

そんな澤将監がいかにして越後を代表する大庄屋おおじょうやになったのか、そして澤将監の館へ行く前に知っておきたい見どころについて、ご紹介します。

2019年12月
新潟市西蒲区(旧中ノ口村)

澤将監の館へのアクセスと基本情報

北陸自動車道巻潟東ICより5分とアクセスは良好。

 

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駐車場は道を挟んで向かい側にあります。

大きな看板がないので見落としてしまう恐れ大ですが、交通量は少なくササッと戻れるから大丈夫です。

入館料 大人300円
高校生150円
開館時間 9時~16時30分
休館日 月曜日
12/28~1/3
電話番号 025-375-1300

 

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かつては武田信玄・勝頼に仕えた武士「澤将監」

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見学の前に澤将監について簡単に触れてみましょう。

 

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もとは戦国武将「武田信玄・勝頼」親子に仕えていた武士で、武田家滅亡後は上杉氏を頼って越後(新潟県)に入り、1612年にこの地へやってきたそうです。

 

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新田開発能力に優れていた澤家は、低湿地で水はけが悪かったこの地の新田開発に尽力します。

武田はあの有名な「信玄堤しんげんつつみ」で治水技術に長けてたものね。

 

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そしてこの地の耕地面積を10倍にまで増やした澤家は地元の信頼を集め、2代目の澤弥三左衛門が1649年には大庄屋となり、周辺を治めたと言われています。

そしてこの澤家が、元は武士だったとうかがわせるものがいくつかあるのですが…

 

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表門にあるこの武者窓がまず1つ。

 

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それからこのようにわざと直角にした入口です。

戦国時代のお城だと桝形虎口ますがたこぐちなんて言いますが、攻めてくる敵がまっすぐ入ってこれないようにするためのものなのですね。

 

総事業費7憶4千万円で復元された澤将監の館

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表門を抜けると大きな主屋が見えます。

それにしても入館料どこで払うんだろう?

 

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はい、主屋の右端のこの受付で300円を支払います。

かなり良心的な値段だね。

 

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ちなみに見学には奥の受付入口からそのまま入りますが、手前が澤家専用の脇玄関で…

 

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さらに藩主を招く表玄関もあります。

MEMO
表玄関は殿様が雨に濡れずに入る事が出来ました。

 

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またこの大きな池を擁する庭園には目を見張るものがあります。

ほひょ

館長曰く、桜の咲く時期と紅葉の時期は必見!だそうです。

 

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そして驚くべきはその建物の工法です。

釘を1本も使わずに、全国の選りすぐりのケヤキ材をタップリ使ってこの館を建てたのです。

総事業費7憶4千万円は伊達じゃないっ!

 

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澤将監の館の見どころ①

では館内の見どころをざっくりと見てみましょう。

受付を済ませたら靴を脱ぎ、最初に行くのが…

 

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大広間と…

 

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客間です。

大広間と客間は大庄屋の会議室と村役場を兼ねた部屋だったそうで、さらにこの客間の隣には槍の間があったそうです。

 

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この槍の間には武装した家来が常時待機していたそうで、大庄屋が農民階級ではなく武士の権限を与えられていたということがわかりますね。

 

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こちらは家老の間。

伊藤若冲いとうじゃくちゅうの襖の絵(模写)と、右の掛け軸にある武田信玄・勝頼からの感謝状(写し)に注目してください。

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信玄の感謝状は川中島合戦で澤将監が情報収集の功績をあげたことによるものです。

 

澤将監の館の見どころ②「藩主の部屋・トイレ」

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藩主が泊まった部屋は2つあり、ちょうど庭園も見える位置で素晴らしい部屋です。

 

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先ほどの二の間に続きこちらは上段の間。

 

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それから釘1本も使用してないと言いましたが、実はひっそりと使われてまして、そこはこの釘隠しで見えないようになってます。

 

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ただ…残念なことにこうして釘隠しを盗んだとんでもない観光客がいたそうです。

正確な値段はわかりませんが、この釘隠しを作るのに結構なお金がかかるそう。

 

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それからお殿様用の、畳が敷かれた贅沢なトイレにも注目です。

 

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この取っ手のようなものは「きぬかけ」と言いまして、実はこれを手でつかむのではなく背を向けて、このきぬかけに着物をかけて用を足したんですよね。

 

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トイレのフタを取ってみると、下に引き戸がついています。

これはお殿様が「ブリッ」とウンチを済ませると、お抱えの主治医がウンチを見てお殿様の健康状態を確かめたのだとか。

きたねぇ。

 

澤将監の館の見どころ③

その他の見どころについてササッと。

 

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中庭。

 

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敵が侵入しても刀を抜けない狭さの廊下。

 

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澤家の家族の部屋。

 

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このたった2畳のスペースは、その前にある蔵に入れる宝物の良しあしを調べる為のもの。

 

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さらに蔵と主屋とが平行になってないのがおわかりいただけるでしょうか。

MEMO
蔵を風水の吉方に向けた為だそうです。

 

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それからこんな茶室もあります。

 

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澤将監の館は他の豪農の館と異なり、明確な見学順路がなく、また復元されたものであることから立入禁止区域がほとんどないのも特徴的です。

ほひょ

地図片手にじっくり見ましょうね。

 

澤将監の館「資料館」

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主屋のすぐ隣にある資料館にも行ってみましょう。

 

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メインはこの太政官布告かな(多分)。

明治時代のもので、要は「外国人に危害を加えたら駄目だよ」という伝達ですね。

 

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それからガラス越しに見える武田信玄・勝頼の感謝状、鑑定団に出してニセモノの判定が出たらどうしようなんて館長がおっしゃってました。

本物かどうか微妙みたい。

 

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あとですね、この素晴らしい屏風は実は澤将監とは一切関係なく、寄贈されたものだそうで何て紛らわしいのだろう(;^ω^)

 

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そしてこのいかにも澤将監のもののような鎧兜も、寄贈されただけで全く澤家に関係ないと聞いて思わず笑ってしまいました(汗)

 

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ただしこの鎖帷子くさびかたびらは違います。

澤将監の義理の父親「小林治右衛門」が着用していたもので、小林家の家宝です。

武田氏滅亡後に上杉を頼りこの地に落ちのびた時、澤将監は小林家に身をよせ娘と結婚しました。武田と敵対していた徳川の手前、澤家は澤姓を名乗らず小林姓で大庄屋を代々勤め、明治期にようやく澤姓に戻したいきさつがあります。
自分の姓を名乗れないなんて屈辱だっただろうね。

 

澤将監の館のまとめ

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現代によくぞ復活させた、という印象です。

12月は冬囲いされていて若干殺風景ではありますが、桜の咲く時期や紅葉シーズンは間違いなくオススメです。

…夏は暑いだけなのでパスしたほうがいいかな。

ほひょ

2006年9月に来た時も暑かった。

他の古い歴史的価値のある豪農の館も良いですけど、現代の技術で蘇らせたこの「澤将監の館」にも注目です。

それから「澤将監の館」と同じく新潟県外から来て大庄屋になった「笹川家住宅」も、ここから車で15分程度の距離なので合わせて見学するのも良いですね。

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